安藤裕子 『のうぜんかつら』レビュー&セルフライナー


今回は『のうぜんかつら』。

Merry Andrew

Merry Andrew



言わずと知れた安藤さんの代表曲の一つで、
彼女が広く世に知られるきっかけとなった曲だ。


この曲にはバージョンが二つあって
(というか正確には完成版とデモ版)
CMに使われ一般に知られているのは
ピアノのみの伴奏でしっとりと安藤さんが歌い上げる
デモ版(いわゆる『のうぜんかつら(リプライズ)』)である。

これも良く知られた話であるが、
本当はバンド演奏による非常にポップな曲として
世に出るはずだったこの曲のデモを聴いたCMディレクターが
気にいって、デモ版をCMにそのまま使ったところ
大ヒットしたという経緯がある。

リプライズもとても良い曲であるが、
個人的には断然本来の『のうぜんかつら(無印)』
の方が好きである。

様々な音が非常にバランスよく配置されており
聴いていて非常に心地良い。
特にイントロ、
もっと言えば出だしの数秒が特にお気に入り。

この曲をklipshのimage X-10で聴くと絶品である。


【国内正規品】 Klipsch イヤホン Image X 10

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〈セルフライナー(word by 安藤裕子)〉


オマケで入れてる曲がアルバム全体を引っ張ってくれたので
ラッキーなんだけど、
レコーディングでは音の粒1つ1つを練って
良い曲を作ってるにも関わらず、
歌のメロディとピアノの旋律だけで出来たものが、
みなさんに一番多く受け入れられたというのは
ちょっと複雑な想いもありつつ(笑)
でもね、私は歌ものをやってるから、
唄う人がいてメロディがあって
歌詞があるというのが一番大切で。
それを確認できたなというところもありで。


これは私たち3人が予定していたこととは違ったんですね。
「のうぜんかつら」って曲は運命的に、
外に出たかったんだろうなって思うしかない部分があって、
「Merry Andrew」を聴いていただくと分かるんですけど、
「のうぜんかつら」って「サリー」みたいな曲を
もう一回作りたいねって、
スタジオに籠もって出来たメロディーに
コードを付けて出来たんですね。
その時は、「この状態でバラードっぽくしても良い曲だね!」
とは話してたんだけど、
ポップな「のうぜんかつら」の方で完成する予定だったんです。
でも、たまたまアンディのところのCM制作の人から、
私のミュージックビデオをMTVで見て、
連絡があって、「静かな曲を探している」って話で。
ちょうどその時ベーシックな状態の
「のうぜんかつら(リプライズ)」があったので、
それをお渡ししたら、
「そのまま使って良いですか?」みたいになったんですね。
なんとなく戸惑いもありましたけどね。
散々あーでもない、こーでもないと
沢山の音を作ってきてたから。
しかも「のうぜんかつら」は別の本バージョンがあるのに
凄くリプライズの方が人気で。
安藤裕子といえば「のうぜんかつら(リプライズ)」
みたいに思われた時に、
「いや普段はこういう曲だけじゃないんですよね」
って思っちゃう自分もその頃はいたかな。
もちろん、文句なく良い曲なんですけれど。


(2012/10/14追記)
「のうぜんかつら」にしても、あの曲を発表するもっと前に、
わたしのおばあちゃんが、「この詩素敵でしょ。私が書いたの」
って見せてくれたものに、私がメロディを付けてあげた思い出があって、
その時の歌が元にはなっているんですけど、決してあの曲も、
おばあちゃんのために書き始めた訳じゃなくて、
たまたまあのメロディを歌っているときに、
不意にその時の経験が露出したっていう感じだし。