安藤裕子 『あなたが寝てる間に』

気付けば発売から1か月近く経ってしまいましたが、
安藤さんの最新作『あなたが寝てる間に』の感想などを少し書いてみたいと思います。


あなたが寝てる間に

あなたが寝てる間に



更新の間が空いてしまったのは、
仕事などでバタバタしていたというのが大きいですが、
正直に言って、今回のアルバムをどのように評価したらよいか、
今一つ定まらなかったというのもあります(今もそうですが)。

最初に数回通して聴いたときにまず思ったのは、
すごく聴きやすいアルバムだな、ということでした。
そして、聴きこむほどに、
音が、細かいところまですごくよく作りこまれていることに感動しました。
そして、個々の楽曲の完成度はもちろん、曲順も絶妙に配置されていて、
アルバム作品としての完成度も非常に高いと思いました。

つまり、文句なく、傑作アルバムであることは疑いようがありません。

ただ、少しだけ気になるのは、安藤さんのアルバムにしては?!、
”聴きやすすぎる”という点だけです。
別の言い方をすると、これまでの安藤さんの作品には、
”引っ掛かり”というか、”ん?よく分からないな。”という部分が必ずありました。
今作ももちろんそういう部分はあるのですが、
これまでに比べると随分少ないような印象を今のところ持っています。

だから良いとか悪いとかいうことではないのですが、
この”引っ掛かり”の少なさが、
自分はこのアルバムのことが、
好きなのか、大好きなのか、(嫌いという選択肢はありません(^^;)
ということを決めかねさせる原因になっているような気がします。

とはいえ、作品自体は傑作であることに間違いはないので、
例えば初めて安藤さんのアルバムを聴くような方には、
手放しでお勧めできる作品だと思います。
邦楽・洋楽・ジャンルを問わず結構音楽は聴いている方だと思いますが、
こんなに贅沢で素晴らしいアルバムはなかなかお目にかかれないと思います。


個々の楽曲についても少しだけ。

前作『グッド・バイ』やその前後のLiveなどでは、
Rock的なアプローチが目立っていたような気がしますが、
昨年行われたいくつかのLiveや今作では(特に前半〜中盤の楽曲)、
Jazzyな雰囲気を個人的には強く感じます。
特に、『世界を変えるつもりはない』のアレンジは新鮮でした。

それから、Liveで演奏されているときから気になっていた
『RARA−DO』は、想像以上に恰好よくアレンジされていて、
今作の中で特にお気に入りの曲の一つです。

安藤さんの作品にはもはや欠かせない宮川弾さんによる『大人計画』は、
ある意味で今作の中で一番これまでの安藤さんらしい楽曲のような気がします。
宮川さんの愛を感じます(笑)

後半は、バラード系の楽曲が続きます。
『人魚姫』は何度聴いてもセンスの塊というか、
鳥肌が立つような名曲だと思います。

そして、今作で一番の意欲作??というのか、
作るのも聴くのも大変そうな『都会の空を烏が舞う』で
アルバムは締めくくられます。


来月からLiveツアーが始まります。
今作の楽曲たちが、Liveでどういうふうにアレンジされるのか、
過去の作品と一緒に演奏されたときにどうなるのか、
とても楽しみです。

K.