安藤裕子が好きな映画(1) くるみ割り人形

有名な話ですが、安藤さんは音楽の他に、
絵画、そして映画の道を志したこともあるそうで、
そんな彼女がどんな映画に興味を持っているかは
ファンの方は興味があるのでは。

ということで、
安藤さんのお気に入り映画を紹介しようと思います。


一回目は、『くるみ割り人形』。

くるみ割り人形 [DVD]

くるみ割り人形 [DVD]



1979年公開(安藤さん2歳)の人形アニメーション映画。

キティちゃんで有名な
サンリオ製作の子供向け映画ですが、
子供向けとは思えない、
おどろおどろしい、
暗〜いオープニングや、
随所に出てくるシュールな人形の表情、
急にカットインされる実写映像、
とツッコミどころ満載な映画です。

しかし、とても30年以上前に作られたとは思えない
精巧な人形の滑らかな動きは素晴らしいです。

それと、誰の言葉か忘れましたが、
異星人と最初にコミュニケーションを取れるのは
バレエダンサーである
というくらいダンスというのは
最も人間の感情や思いを表現できるツールである
というのがよく分かる映画でもあります。
だから子供の印象にも残りやすいのかも。

そして最大の見所は、エンドロールで判明する
超豪華声優陣!!


〈安藤さんの感想(word by 安藤裕子)〉

ちっちゃい頃に、
夏休みの「ちびっ子集まれ!」的な
デパートの催し物につれていってもらったときに、
視聴覚室みたいなところに
みんなで体育座りをしてみせてもらったんです。
子供ながらに内容が衝撃的で忘れられなくて、
ずっとその記憶が夢と混ざりながら生きてきた感じで。
もう一度観たいなって
大人になってからもずっと思ってたんです。
でもビデオとしては廃盤だったのか、
探してもぜんぜんなかったりして、
ちょっと前に古本屋さんで
この人形劇のフィルムの写真を使った絵本があって、
「ひゃぁ!」と思って喜んで買って。
それを仲のよい人とかに話していたら、
ある方がDVDを見つけて送ってきてくれて。
すっごい感動しましたね。
でも、改めてみると
考えられないくらい自由奔放な作品なんですよ。
人形や家の作りが精巧なのはもちろんですけど、
子供にこんなもん見せていいのかなって
くらいファンタジーで。
物語と関係ない、
余計なイメージシーンが多いんです。
しかも、よくよく観たら
(主人公の)クララ役(の声優)が
杉田かおるさんっていうのにも驚いて。
ねずみに変えられちゃったお姫様の
魔法を解く会議みたいなのがあるんですけど、
そこも昭和9年会っていうグループで、
(大橋)巨泉さんとか坂上二郎さん、
藤村有弘さんとかが出ていて。
そこで自分たちの持ち台詞をいいながら、
その時に流行っていた歌謡曲とかも混ざっていたりして、
相当おもしろかったですね。

それに作詞が寺山修司で、
音楽も作中ですごく格好よいことをやってるんですよ。
日本語で歌っているんですけど、
あからさまにそれが外人なんです(笑)。
あと人形劇から実写の映像に
意味も分からず切り替わって、
当時から有名だったバレリーナ
森下洋子さんがスタジオで
ひたすら踊っている映像が流れるんです。
後半はなぜかクララも
森下さんと一緒に踊ってたりして、
すごいなぁと(笑)。
ちっちゃい頃観ていた作品て、
大人になってみると
「うわ、ちっちゃい!」って
思ったりするじゃないですか。
でも逆な感じがしましたよね。
どちらかっていうと、
レベルがあがった感じです。
何か自分が未だに好きなイメージというか、
童話的だったり、不気味さだったり、
現風景をひきずった世界観みたいなものが
ここに詰まっていて。
たぶん、観たときに
相当衝撃を受けたんだろうなって思います。

ほかには時計職人のドロッセルマイヤーおじさんが、
水戸黄門西村晃さんがひとり4役やっている中の
一つなんですけど、怖いんですよ。
そのおじさんがなぜか、
夜更けに起きている子供を
ネズミに変えちゃう悪い妖怪とおなじ顔なんです。
子供とその妖怪の目があって、
「はっ!」って目がカァッって見開いて
髪が逆立つシーンがあるんですけど、
その表情が余りにもこわすぎて
ずっと焼き付いていて、ずっと忘れられなくて。
観たときに「この顔だ!」って思いましたね。
「ねずみに変えられちゃう」っていうのが、
子供ながらにすごい恐怖心で残っていて。
でも、そういう暗さとか闇の部分もきれいで
幻想的に描かれていて、
この人形劇を作った人たちはすごいなぁと思いました。

あと、これはサンリオの作品で、
物語と関係ないイメージシーンで、
私がおっきくなってからも夢で何回もみた
お菓子の国があって、
人がゼリーになって動いたりしている中に、
キキララとかキティちゃんのお菓子グッズみたいのが
動いているんですよ。
きっとサンリオからのお願いだったんじゃないかな
と思うんですけど。