安藤裕子『クリスマスの恋人』



『輝かしき日々』以来、実に3年振りのシングル『クリスマスの恋人』。

最初に恵比寿で聴いたときは正直ピンと来なかったんですが、
渋谷で改めて聴いたときにだいぶ印象が変わり、
こうしてCDになった音源を聴くと、
ほんとうに素晴らしい出来だと思います。

楽曲面でいうと、安藤さん自身がホームページで言われているとおり、
安藤さんの楽曲としては、かつてないほど、一見安藤さんらしくない曲です。
ただ、本当に安藤さんらしさがないかというと、
やっぱりすごく安藤さんらしい仕上がりになっているとも思います。

安藤裕子の魅力というのは、
ほかに代替の効かない個性、唯一性にあると思っていました。
それは、一面ではそのとおりなんだと今でも思いますが、
今更ですが、この曲を聴いて思ったのは、
安藤さんの楽曲というのは、自作曲も含めて、
むしろ、根っこはとてもオーソドックスな、
普遍性の高い楽曲が多いんだなぁということです。

だからこそ、こういう一見安藤さんらしさをできるだけ排除した曲であっても、
出来上がったものは、どうしようもなく、安藤さんならではの楽曲になっています。

それから、なんとなく一昔前の歌謡曲のような??アレンジ、演奏も素晴らしいです。

そして、カップリングの「雪が降る町」も最高です。

もうすでに何十回も繰り返し聴いていますが、全然飽きません。

作品自体には大満足ですが、ちょっと残念なのは売り方でしょうか。
せっかくこんなに素晴らしい楽曲なので、
ぜひたくさんの方に聴いていただきたいと思うのですが、
絵本付きとはいえ、2曲入りで2000円を超える値段設定は、
やや無理があるのではないでしょうか。
販売チャネルがタワレコに限定というのもちょっと。
これではコアな安藤さんファン以外はなかなか手が出ないような。。。
友人にも気軽には薦めづらいです。
こんな時代ですから、売り方もいろいろと試行錯誤されているのでしょうけれども、
今回はちょっと残念でした。
それと、ぜひハイレゾ版を出してほしいものです。

しかし、この感じだと、発売日も迫ってきた
ニューアルバムは相当期待できるのではないでしょうか。
とても楽しみです。

K.