歌う意味

女優の泉ピン子さんが、
今から約25年前、33歳ころに
女性の仕事というテーマで書いた文章を
たまたま目にしました。

そこにはこう書かれています。

アタシが思うには、与えられた仕事を真面目に勤めるのは当然だけれど、
ただそれだけでもダメなのネ。
万事に気を使って、いい女にならないと、
得体のしれない”人気”という怪物に嫌われてしまうみたい。
自分にどんな魅力があるかなんて、自分ではわからないと思うの。
美人が、美人ぶっていたら嫌味になって、人気にはつながらないでしょう。
美人が不美人ぶっていたら、よけい嫌味だし、
不美人が不美人ぶっていたら話にならない。
女性は美人だろうと不美人だろうと、一生懸命、万事に頭を使い励むこと、
それ以外に人気の出る道はないと思うの。
これは仕事を持つすべての女性にいえることではないかしら。


それから、同じく25年前に、バイオリニストの佐藤陽子さんが
音楽と仕事をテーマにかいた文章には、こうありました。


働く喜びを知らないものは不幸である。
女性であってもなくても、その喜びに変わりはない。
ただ、いいことばかりが続くわけもないし、
当然何のためにやっているのかという疑問もでてくる。
仕事はいいときも悪いときも、
絶えまなく進行させるのが一番大切だと思っている。
私は興味を持ったものには何にでも
手を出すようにみられているかもしれないし、
そのことを否定もしないが、
決してヴァイオリンから離れようとしたことはない。
弾かないでいられたらという願望を常に持ちながらも、
もう自分の心棒になってしまったものを手放せるはずがない。
私のものの見方、自信を支えてくれるものは
すべて音楽の観点によるものである。
仕事を持っている人間の誰にでも通じる「強さ」ではないだろうか。



先日の鎌倉公演で、安藤さんが、
自分は歌う意味がわからない、
というようなことを話していました。

でも、逆説的ですが、歌う意味がわからない、
ということが、歌う意味にもなるし、
安藤さん自身も言うように、
何より安藤裕子というアーティストと作品を待っている人が
たくさんいるので、是非歌い続けてほしいなぁ。

ということで、近々ニューシングルでも出してくれないかなぁ、
なんてことを思うのです(笑)

T.