安藤裕子が好きな音楽(7) 小沢健二


今回は、先日の大演奏会でもトリを務めた『僕らが旅に出る理由』の
オリジナルアーティストでもある小沢健二

LIFE

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小沢健二と言えば、
自分や安藤さんのいわゆる青春時代真っ盛りにブレイクしたアーティストであるが、
当時洋楽まっしぐらであった自分は、リアルタイムで真剣に聴いたことはなかった。

しかし、15年以上前に発表されたこのアルバムを今聴いても
時代を超えた完成度に驚かされる。


〈安藤さんのお勧めの言葉(word by 安藤裕子)〉


収録曲どれもシングル曲になりそうな、捨て曲のない構成。
発売後10年以上経った現在も古くささがないのがすごい。

彼の歌にはきっと何かあるんです。
音作りに関しても、細かなこだわりが感じられるし、すごいなって。


(僕らが旅に出る理由について)

この曲をやるまで、私にとってカバーをやるのは本当に音楽、
音で楽しむって言う遊びの場で。
シングルにいつもカバーを1曲入れてて、
その時はだいたい勢いと感覚と楽しいって気持ちだけで
レコーディングしてたんですね。
もちろんカバーする曲自体が好きだし、
その曲に対するリスペクトと、
オリジナルを越えてやろうっていう
チャレンジ心みたいなものもあってやってたんですけど。
ただ、こうやってカバーをやってきたことに関しても、
そういう時代の終わりみたいなものを自分の中でちょっと感じていて。
実は、もうそんなに毎回カバーしなくても
いいやっていう感じにもなってきたんです。
だから、この曲をやったのは、
ずっと好きな曲のカバーをやってきたことに対するお別れの意味もあって。
あと、これまである程度マニアックじゃないですけど、
王道ではない曲をやってきたから、
「次は何やるんですか?」って人に聴かれたり、
「これ歌ってみたらどうですか?」って言われることがあって、
そういうのもひっくり返したいっていう気持ちがあったんですね。
で、「え?オザケン?」みたいな、最初はちょっと王道で、
逆に意外性があっていいなっておもって選曲はしたんですけど、
結果アルバムができてみたら、
このアルバムにとって非常に重要な役割を果たしてくれた1曲になって。
私の変化の意味だったり、何かの終わりと何かの始まりっていうのを告げる、
重要な曲になってくれたんです。
だから、この曲でカバーをしばらくやめようと思ったのも、
何かの因縁だったかなって。


(”僕らが旅にでる理由”のオリジナルドラマーが
初代スカパラドラマーの青木さんで、
カバー曲のドラマーが現スカパラ茂木欣一であることについて)

それは最初はねらったことじゃないんです。
欣チャン(ドラム)とはずっと
「今度”ハイスクール・ララバイ”(細野晴臣作曲、松本隆作詞による、
イモ欽トリオの1981年の大ヒット曲)を一緒に歌おう」って言ってたんですけど、
little creaturesがこの前の細野晴臣さんのトリビュート盤で
”ハイスクール・ララバイ”をすごくかっこ良くやっていて。
「悔しいけど、こんなにかっこ良かったら越えられない!」と思って、
でもやっぱり欣ちゃんと一緒に歌いたいって思ったから、
じゃあオザケンの”僕らが旅にでる理由”を一緒にできないだろうかって相談したら、
「やろう!」って言ってくれて。
でも私、その因縁には収録してから気づいたんです。
だからいろんな意味で感慨深い1曲になりましたね。