安藤裕子が勧める本(2) 青春漂流


今回は、立花隆『青春漂流』。

青春漂流 (講談社文庫)

青春漂流 (講談社文庫)


11人の若者(20〜40代)が、
今の職業に就いたきっかけ等を
橘がインタビューを通じて描いて行く。

こう書くと、普通のインタビュー本のようだが、
この本の面白さは、出てくる職業が普通ではないところだ。

鷹匠、猿回し、肉切り職人、ナイフ職人、ソムリエ・・・
そもそも職業として成り立っているのか怪しいものばかりである。

つまり、立花氏は、この本に出てくる若者を
決して成功者として扱っていないのだろう。
飽くまで『漂流者』なのだ。

そしてもう一つ、
この本が書かれたのが20年以上前ということ。

したがって、彼らの『その後』が分かるのだ。
例えば、若きソムリエとして登場する田崎真也は、
今やテレビでもよく見かけるいわば『成功者』である。

ただあるいはこういった読み方は
この本には蛇足かもしれない。


一方、この本の残念なところは、
一人一人の文章量が非常に短い点。

元々雑誌連載用の記事をまとめたもののようなので
仕方ないのかもしれないが、
もう少し一人一人を掘り下げたものが読みたかった。


安藤裕子からの推薦の言葉〉
古い本が新しい価値観を教えてくれる。ぜひ読んで欲しい。