安藤裕子『Happy go lucky』レビュー&セルフライナー

ウォークマンで音楽を聴いていると
AMでもBOCでもDPでもDBでも
JCでもfunでもBeatlesでもU2でも
矢野顕子でもオザケンでもスピッツでも
マキシマムでもモーツァルトでもなくて、
なんなら音楽ですらなくて、
安藤裕子”が聴きたいというときがあります。

結局それが、私が安藤さんの曲を聴き続ける
最大の理由なんだろうと思う今日この頃。
(曲のレビューになっていなくてすみません)

and do,record.(CCCD)

and do,record.(CCCD)


安藤さんのつぶやき、おもしろいですね。
お弁当の写真もよく出てきますが、
最近読んだ本からぴったりの言葉を。


母の作る弁当は油断ならない。
(昨夜のカレー、明日のパン)


どんなだったと聞くと、一樹は、そりゃいいもんだけど、
女のつまらなさを知ってしまうことでもある、
と格言のようなことを言った。
虎尾が知りたいのは、そんなことではなかった。
(同)

女を失うというのは結局そういうことなのだ。
現実の中に組み込まれていながら、
それでいて現実を無効化してくれる特殊な時間、
それが女たちが提供してくれるものだった。
(女のいない男たち)



昨夜のカレー、明日のパン

昨夜のカレー、明日のパン

女のいない男たち

女のいない男たち




〈セルフライナー(words by安藤裕子)〉

自分がやりたいことができた曲だと思ってますね。
突き抜けて明るくシニカルなことを歌いたい、みたいな。
そのフレーズが一番最初にできて、
どんどん付け足していったんですよ。

なんかね、たとえば一つちゃんと話があって、
それを事後報告する曲はそうでもないと思うんですけど、
この「happy go lucky」は誰かと会話をしている感じなんですよ。
でも、誰に向かって話してるとか決めてないし、
もしかしたら自分に言ってるのかもしれまないし・・・
何かをすごくさげすんでる感じもあるかもしれないし。
自分もその時々によって立ち位置が変わるんで、
聞いている人もどういう風に受け取ってもらってもよいやって思ってますね。

Q 歌詞にしろ曲にしろ、えらい一体感がある曲だなって思いますね。
A 曲って一緒に作っていると一緒の方向を向いていられるからかな。
「happy go lucky」は車とか乗ってても自分で聞いちゃうくらい好きですね。

たとえば、「happy go lucky」って
別に限定して誰かに何かをやってるとかじゃないんだけど、
でも、何か言葉を発するときって、
やっぱり絶対、対一人っていうところはあるし。
大勢に向って「皆さん、聴いてください!」とか、
「あなたたち」じゃないんですよね。
「あなた」だから、それは全然・・・
大きくなるのって難しいなあ、うん。
あたしがマザーテレサみたいな人だったら、
また表現は違うのかもしれないんですけど、
まだあたしの中でそういうのはないっていうか。
まず一対一の問いかけぐらいっていうか。

結構作りたての頃に、
荒井由実さんみたいな感じということはすごく言われてて。
自分も好きだし、すごい素晴らしいなって思うし。


「ドラマチック・レコード」っていうリード曲があるんですけど、
それと並んでキャッチ―な「happy go lucky」っていう曲があって、
その元タイトルが「and do」だったんですよ。
いろいろ考えてたんですけどゴロ良く3文字がいいかなって
「happy go lucky」に変えちゃったんです。

私は相当の天邪鬼だと思う。
昔、奇面組という素敵な漫画に天野邪子というキャラクターがいたけれど、
そこらへんレベルだと思う。
小学校二年の学芸会で私は一目惚れをした。
その頃までの記憶はほぼ無いが、鮮烈に覚えている。
初めて見る男の子だった。
その男の子は熊の役で、
舞台上でスポットライトを浴びて歌っていた。
「さ?むいなさ?むいよ 冬だもの?」
私は目が離せなかった。
3年生になると、その男の子と同じクラスになった。
しかも彼は私の後ろの席だ。
給食では向かい合わせに座ることとなった。
せっかくのシチュエーションも、
当時口をきけなかったのでどうにもならんかった。
彼はみんなの人気者で、
もはや学年の半分位の女の子が彼を好きだったように思える。
しかしある日、チャンスはやって来た。
彼が体育館への道のり、
三年生の男子らしく通りすがり私にちょっかいを出してきたのだ。
私は目の前で憧れの彼が、
ニコニコと楽しそうに笑っているのを見て、思いっきり腹を蹴り上げた。
嬉しさと恥ずかしさが異様なパワーを生んで、
彼をむせこんで地面にしゃがみこんだ。
そう、私は生まれつきの天邪鬼だ。
みんなの様に可愛く「やめてよ、もう?」なんて言えない。
そんな天邪鬼な私は、素直に人に優しくなんて出来ないし、
歌だってねじり曲がってしまう。
だけどやっぱり。
それでもあんたとは気が合いそうだ、
そう言ってもらうのを待っているんだろうな。
あ、そうそう。
一昨日?その男の子に骨髄?移植をしてもらう夢を観た。
ちゃんちゃん。


女のいない男たち

女のいない男たち